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アジア太平洋地域における高齢化に関する有識者会議

タイ、バンコク:2018524 - アジア太平洋地域において、急速な高齢化に直面する国が増え続けている今、日本政府と国連人口基金(UNFPA)は共同で、各国政府と国連関係者、有識者を集め、加速する高齢化問題について、持続可能な開発目標(SDGs)の観点から政策対話を実施した。

 

2018年5月15日、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)の第74回総会に付随して開かれたこの会議では、世界の60歳を超える人口の半分以上が暮らすこの地域における、高齢化社会による機会創出と、もたらされる課題について議論された。

 

佐渡島志郎在タイ日本国大使館特命全権大使は開会の辞において、「急速に変化する人口動態は、アジア太平洋地域の、政治的・経済的・社会的な中長期見通しに重大な影響を持ち始めています」と述べた。「世界的に見て最も高齢化の進んでいる国の1つである日本は、高齢化に直面する当地域の国々に対し、特に日本政府のアジア健康構想を通して、協力を惜しみません」この構想は2016年に発表され、日本の保健に関する知見と経験を途上国と共有することを目的としている。

 

有識者会議において ビヨン・アンダーソンUNFPA アジア太平洋地域事務所長(左)、佐渡島志郎在タイ日本国大使館特命全権大使(右) 写真提供:UNESCAP

 

ローラ・ロンデン国連事務次長補兼UNFPA事務局次長は、アジア太平洋地域の高齢化のジェンダーおよび社会経済的側面を強調した。「2050年には、世界の高齢者の約3分の2にあたるおよそ13億人がこの地域に暮らしているとされています。このままでは、一般的に男性より長生きし、かつ経済的に不安定な女性は、高齢期に孤立し、貧困に陥るという、類を見ないリスクに直面します。社会のあらゆるレベルにおけるジェンダーの平等の推進は、健康な高齢化のための重要な要素です」パネルディスカッションにおいて有識者たちは、近年大幅に変化している世帯構成に対応するため、現在の高齢化に対する政策をより戦略的なものに発展させ、人権に基づくアプローチを適用しながら実施すべきであるというUNFPAの提唱に賛同した。

 

エドアルド・クリーン ヘルプエイジ・インターナショナル アジア地域代表は、「ジェンダーの平等や、長期的なケア、所得保障などといった、より包括的な視点を考慮した、新しい社会契約」を生み出す政策の重要性を主張した。

 

国立社会保障・人口問題研究所の高齢化専門家である林玲子氏は、「ジェンダーの不平等は、年金保険料や給付額などを含め、特に女性のライフサイクルに影響を及ぼします。だからこそ、アジア太平洋地域の特に高齢女性の割合が高い国々では、人口動態の変化に対応するために、ジェンダーに配慮した高齢者のための政策が非常に重要なのです」と語った。

 

トンタナ・パームボタシ タイ保健省 国民保健医療制度改革 戦略室副室長は、「高齢化に関する政策は国家特有の状況に応じて作られるべきで、万能型のものなどはありません。重要なのは、高齢者のための制度を整えることに加え、地域に根ざしたシステムを構築することです」と訴えた。

 

シャムシャド・アクタール国連事務次長兼UNESCAP事務局長は、正しい政策に加え、戦略的に事態に向き合うことで、「高齢化の課題は、新たな機会に転換することができる」と指摘した。彼女はまた、マドリッド国際行動計画(MIPAA)の第三回のレビューと評価を含む、政府間フォーラムにおけるUNFPAとUNESCAPの継続的な協力に感謝を表した。

 

閉会に際して、UNFPA事務局次長ロンデンは、バンコクのアジア太平洋地域事務所が、加盟国及びパートナーへの高齢化社会に関する政策に対しより効果的な助言を行っていくことを強調した。

 

“アジア太平洋地域における高齢化:機会創出と課題” 写真提供:UNESCAP