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【2021年2月6日 ニューヨーク 発】

2月6日の女性性器切除(FGM)根絶の日に際し、UNFPA(国連人口基金)はユニセフ(国連児童基金)と共同で声明を発表しました。

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって学校が休校となり、また女性性器切除(FGM)から少女を守るためのプログラムが中断されているため、今後10年間でFGMを受ける少女と女性が200万人増える可能性があります。

 

私たちは、このような事態を防ぐために、直ちに行動しなければなりません。

 

持続可能な開発目標(SDGs)では、FGMとジェンダーの平等は密接に関連していることが認識され、2030年までにこの有害な慣習を完全に根絶するという目標が設定されていますが、COVID-19がこれまでの成果を逆行させる前から、既にこの目標の達成は容易ではありませんでした。

 

しかし、私たちは目標達成への努力を緩めるどころか、毎年FGMのリスクに晒されている400万人の少女と女性を守るという決意を新たにしました。

 

私たちは団結しなければなりません。FGMを終わらせるためには、様々な分野の関係者の協力が必要です。これには、世界、地域、国、コミュニティの政策立案者、小さな草の根団体や女性の権利グループから国際NGOまでの市民社会、教師や保健・医療従事者から宗教指導者やコミュニティの年長者といった変革の担い手、そして法執行機関や司法関係者が含まれます。男性と少年もまた、果たすべき重要な役割を担っています。FGM被害者の力強い声は、地域社会の変革をますますリードするようになってきています。共に、この声を広げていきましょう。

 

私たちは、こうした取り組みへの決意とともに、資金が必要です。FGMがすでに減少している国でも、2030年までに撲滅するという世界目標を達成するためには、その進展を10倍に高めなければなりません。そのためには、今後10年間で約24億米ドルが必要となりますが、この資金は少女一人当たり100米ドル未満です。これは、女の子の身体的インテグリティ(完全性)、健康、そして権利侵害に対して「ノー」と言う権利を守るために支払うためのささやかな対価です。しかし、この資金の大部分は未だ集まっていません。 

 

私たちは、迅速に、断固として、同時に行動しなければなりません。教育、保健ケア(性と生殖に関する保健サービスを含む)、生計手段へのアクセスを確保し、法律や政策、新しい社会規範によって少女が守られるようにしなければなりません。10代の少女や少年のリーダーシップを促し、彼らが身体への暴力を含むあらゆる形態の暴力に対し、「もうたくさんだ」と声を上げる力を支えようではありませんか。

 

FGMを終わらせるための取り組みは、少女や女性が権利を行使し、潜在能力を発揮し、地域社会と未来に十分に貢献できるようにするための力と主体性を支えることにもなります。FGMの撲滅とジェンダー平等は、相互に関わり合い、相互に補強し合う目標です。つまり、もしジェンダー平等が実現すれば、FGMはなくなるでしょう。これが、私たちが思い描く世界であり、SDGsは、そこに到達するための道筋を示しています。

 

私たちは何が有効かを知っており、言い訳は許されません。女性と少女に対する暴力は終わらせなければなりません。今こそ、団結し、適切に資金を使い、行動する時です。

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■本声明文は日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものに、UNFPA東京事務所が適宜編集をしています。

 

■新型コロナウイルスに関するUNFPAとユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。

・UNFPA 新型コロナウィルス感染症緊急対応

・ユニセフ 特設サイト

・ユニセフ COVAX情報ページ

 

■NHKでの女性性器切除(FGM)に関する報道・記事

・2021年1月27日、「おはようニッポン」で、女性性器切除についてのレポートが放送

(地上波では恐らく初めての女性性器切除について放送)

・2021年1月12日 BS1にて「いまも続く慣習「女性器切除」・根絶に向けて動き始めたスーダンの女性たち」が特集

・2021年1月4日 BS1にて「国際報道2021 習慣を変える難しさ…アフリカ“女性器切除”と闘う」が放送

・NHK WEB特集 女性器切除の痛み