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10月1日、国際高齢者デーに際して、国連人口基金(UNFPA)アジア太平洋地域事務所主催のオンライン・イベント「Successfully addressing rapid population ageing in Asia-Pacific: A Life-Cycle Approach with Gender Equality at the Centre(アジア太平洋地域において急速に進む高齢化への対応を成功に導くために〜ジェンダー平等を中心としたライフサイクル・アプローチ)」が開催されました。

 

日本では高齢者人口の割合が、28.7%と世界で最も高く、アジア太平洋地域でも急速に人口の高齢化が進んでいます。高齢者人口に対応する健康サービスの不足や、高齢になるにつれて増加する社会的不平等の是正は、国際的な社会問題となっています。

 

本イベントでは、UNFPAアジア太平洋地域事務所で人口高齢化と持続可能な開発に関する地域アドバイザーを務める森臨太郎がモデレーターを務め、日本、インド、マレーシア、ネパールの4か国から高齢者対策に関わる4名を招き、加速する高齢化社会に向けて今後どのような施策が必要とされているか、意見を交わしました。また、同事務所が提唱する高齢化に対応するための「ライフサイクル・アプローチ」が発表されました。

 

日本からは、金沢医科大学の金森亮佑さんが参加し、厚生労働省が推進する認知症サポーターキャラバンに参加し、認知症サポーター養成講座の講師をボランティアで行っている経験を基に日本の現状を紹介しました。

 

他国からの参加者は、高齢化社会対策として、高齢者のヘルスサービスへのアクセスの向上、健康サービスを担う医療従事者の教育・研修の重要さを訴えました。特に、新型コロナウイルス感染症の収束後の状況に合わせた高齢者対策の実現が望まれていると述べました。

 

UNFPAは、人口問題に取り組む国際機関として、性と生殖に関する健康と権利に関する課題、人口動態に関する問題に取り組んでおり、その一つに高齢化対策があります。高齢化という複雑な課題に対する解決策は、ジェンダー平等を念頭に置き、ライフサイクルと世代間のアプローチに基づく、社会全体を巻き込んだものである必要があります。

 

10月1日の国際高齢者デーに際し、UNFPAアジア太平洋地域事務所は、人口高齢化政策に関する報告書「人口高齢化に関する社会政策集」(英語:こちら)とライフサイクル・アプローチをわかりやすくまとめている動画(英語:こちら)を発表しました。

 

報告書では、高齢化に対応するための社会政策が包括的にまとめられています。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、高齢化対策を迅速に実行することは喫緊の課題です。動画では、高齢化課題への対処には世代を超えて、ジェンダー平等の概念を中心としたライフサイクル・アプローチが有効であることをわかりやすく紹介しています。是非ご覧ください。