国連人口基金

はじめに

国連人口基金は、21世紀の人類が直面している最重要課題の一つである地球的規模の人口問題を、単なる数の問題ではなく人間の尊厳の問題として取り組んでいる国連機関です。

特に政策づくりと実施の両面から、貧困削減や持続可能な開発性と生殖に関する健康と権利(SRH/RR)の推進、女性のエンパワーメント(女性の能力強化を通じた社会的地位の向上)、国勢調査を含む研究調査などの支援活動、またこれらの問題に対する啓発活動を行っています。

「子どもを、いつ、何人産むか」…。それを決めるのは、一人ひとりの選択です。すべての人に、その権利を。そして、安全な出産と子育てを。

そうした思いから、国連人口基金は、特に開発途上国の人口問題に対し、各国政府やNGOとともに取り組んでいます。
 

©Mikkel Ostergaard / Nepal
  ©Mikkel Ostergaard / Nepal

 

国連人口基金の歩み

国連人口基金のあゆみと国際社会での役割

 

©GMB Akash/Panos Pictures/UNFPA

国連人口基金は、1967年に第21回国連総会決議に基づき、国連事務総長の下に信託基金として認可されました。その後1969年、「国連人口活動基金 (United Nations Fund for Population Activities)」として活動を開始しました。当初は国連開発計画(UNDP)の下に置かれましたが、国際社会で人口問題対策の重要性が認識されるようになり、期待される活動範囲が拡大してきたため、1972年に独立した国連機関となりました。それ以来、「人口問題」の専門的開発機関として、主に人口統計データを用いて開発途上国の政策立案を支援しています。

1987年には、現在の名称である「国連人口基金(United Nations Population Fund)」に変更しました。しかし、「UNFPA」という呼称は既に広く浸透していたため、現在もそのまま使われています。

1994年にエジプトのカイロで開催された国際人口開発会議(ICPD/カイロ会議)では、参加各国によって20ヵ年の「行動計画」が採択されました。国連人口基金は、この行動計画を活動の基本的枠組ととらえ、実施していく中心的機関として積極的に活動しています。

1996年、UNFPAはHIV/エイズ対策に取り組む国連エイズ合同計画(UNAIDS)の共同出資者になりました。また、1997年に国連事務総長のイニシアティブにより組織された 「国連開発グループ (United Nations Development Group, UNDG)」では、設立以来の執行委員会メンバー(UNDP、UNFPA、UNICEF、WFPの4機関から構成される)を務めています。国連開発グループは国連主導の各種開発プログラムを調整し、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向け、多くの国連機関がより多面的かつ効率的に協力して活動する「一体となった任務遂行(Delivering as One)」を目指しています。現在は、アルバニア、カーボヴェルデ、モザンビーク、パキスタン、ルワンダ、タンザニア、ウルグアイ、ベトナムの8カ国でパイロット事業が行われています。

同じく1997年から、国連人口基金は他の国連専門機関との連携のもと、「共通国別評価(Common Country Assessment, CCA)」の普及を図っています。共通国別評価とは、国連開発プログラムの各実施国が、自国の開発における具体的な課題や問題点を洗い出すためのプロセスで、分析は国連共通の指標に基づき、国連機関や支援国政府、NGO(非政府組織)などと共同で行われます。共通国別評価による分析は、その国で国連開発機関がより効率的に協働し、プログラムの効果を高めるための「国連開発援助枠組(United Nations Development Assistance Framework, UNDAF)」の策定に活用されます。

このように国連人口基金は、国連の世界的な開発戦略全体の改善のために精力的に活動を続けています。

さらに、国連システムの中だけでなく、NGOなどの市民社会、民間企業、大学や研究機関など、さまざまな個人や組織と協力しています。この連携は、開発途上国のプロジェクト現場から、国家レベルでの協働、さらに世界的な広がりをもつキャンペーンまで、国連人口基金の活動領域全てで行われています。特に NGOとの協力には、国連機関の中でも早くから熱心に取り組んでおり、現在では支援プログラムの多くがNGOとの協働で実施されていると言っても過言ではありません。

国連人口基金は「人口」をキーワードとし、人口を数としてとらえることに加えて、人口を構成する私たち一人ひとりに着目し、国際社会の中での人々と連携しながら、持続可能な開発のために活動しているのです。


©Tom Weller

 

国連人口基金事務局長

国連人口基金 事務局長

2017~:ナタリア・カネム(Natalia Kanem, MD)

パナマ出身。コロンビア大学とジョンズ・ホプキンス大学で、医学と公衆衛生の研究者としてキャリアをスタートした。1992年から2005年 にかけて、フォード財団に勤務し、同財団の西アフリカ代表として女性の性と生殖に関する健康や、セクシュアリティ分野における先駆者として尽力した。財団本部では、アフリカ、アジア、東ヨーロッパ、南北アメリカにおける世界平和と社会正義を促進するプログラムを総括する副代表として活躍した。

2014年から、UNFPAのタンザニア代表を務め、2016年7月にプログラム担当の事務局次長に就任。

カネムは、アフリカの青少年と子どもたちのために主に活動する民間企業、ELMAフィランソロピーの創業社長であり、またカリブ諸国の開発を手掛けるロイド・ベスト西インド諸島研究所のシニア・アソシエイトを務めた。
カネムは、ニューヨークのコロンビア大学で医学博士号を、シアトルのワシントン大学で、疫学、予防医学を専門とした公衆衛生の修士号を取得。また、歴史と科学を専攻したハーバード大学では、成績優秀者に贈られるマグナ・カム・ロードを授与されている。

国連人口基金 歴代事務局長

2011~2017 : ババトゥンデ・オショティメイン (Babatunde Osotimehin, MD)

国連人口基金事務局長(5)

ナイジェリア連邦共和国出身。ナイジェリア連邦共和国のイバダン大学でMBBS(医学士・科学士)を、イギリスのバーミンガム大学で薬学博士号を取得。2008年から2010年までナイジェリア連邦共和国の保健大臣を務め、ナイジェリア国内のHIV/エイズ対策を統合する、ナイジェリアの国家HIV/エイズ活動委員会の委員長を経て、現職。

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2001年~2010 : トラヤ・A・オベイド (Thoraya Ahmed Obaid, PhD)

 トラヤ・A・オベイド (Thoraya Ahmed Obaid, PhD)

サウジアラビア王国出身。同国初の女性国費留学生として米国の大学に入学し、英文学と文化人類学の博士号を取得。1975年以降、国連・西アジア経済社会委員会(ESCWA)に勤務。1998年に国連人口基金(UNFPA)に加わり、アラブ諸国・ヨーロッパ局長を経て国連人口基金事務局長に就任。女性のエンパワーメント(女性の能力強化を通じた社会的地位の向上)を通じ、男女を問わず市民としての権利と義務とを行使できる社会を目指す。就任後も、さまざまな文化や宗教への配慮を重んじる姿勢を国連人口基金の活動に取り入れてた。
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1987年~2000年 : ナフィス・サディック (Nafis Sadik, MD)

国連人口基金事務局長(3)

パキスタン(パキスタン・イスラム共和国)出身、医学博士。1987年から2000年まで、国連人口基金の事務局長として、女性が直接的に開発政策策定に関与することの重要性を訴えるとともに、1994年の国際人口開発会議(ICPD/カイロ会議)を成功に導いた。現在も国連事務総長付き特別顧問およびアジア太平洋地域HIVエイズ問題特使を務める。

 

 

1969年~1987年 : ラファエル・M・サラス (Rafael M. Salas)

国連人口基金事務局長(4)

 

フィリピン出身。国連人口基金初代事務局長。「ミスター人口問題」と呼ばれ、人口問題対策が開発の主要な課題の一つであることを、国際社会に広く認知させるにあたり、大きく貢献した。1974年の世界人口会議及び1984年の国際人口会議開催の立役者。1987 年没。

 
 
 
 
 

 

関連リンク

UNFPA

国連関連

 

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