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バングラデシュ、コックスバザール:2018年3月29日―日本政府は、リプロダクティブ・ヘルス/ライツを推進する国連機関である国連人口基金(UNFPA)と共同で、ミャンマーのラカイン州における暴力から逃れて来た女性と少女たちに対して、彼女たちの生命に関わる性と生殖に関する健康と保護のための対応措置を提供する。バングラデシュのコックスバザールにある過密した難民キャンプや居住区で暮らす女性と少女たちは、健康と安全が脅かされる高い危険性にさらされている。

 

人道支援において、避難民に提供されるサービスを維持することだけでなく、そうしたサービスをより強化してさらに包括的なものにすることが必要とされる開始から6ヵ月目というのは、非常に重要とされている。日本政府からの支援は、ちょうどその時期に当たる。さらにモンスーンや、それに伴う洪水や土砂崩れといった自然災害の危険が差し迫るなかで、この日本政府による支援は、すでに脆弱な立場にある避難民への影響を軽減するのに役立てられる。災害時には、特に女性と少女たちは、ジェンダーに基づく暴力の被害を受けたり、リプロダクティブ・ヘルスに関連するニーズが見過ごされがちである。

 

日本政府の援助を受けて、UNFPAは、産前産後のケア、家族計画、性的暴力被害者の治療、安全な出産サービスなどを24時間365日提供することができるような高いスキルを備えた助産師をより多く派遣できるようになる。さらに、救命用具や地域支援活動に加え、妊産婦を遅滞なく医療施設に搬送するための緊急担架や“トムトム(乗合タクシー)”救急車の提供も予定している。

 

また、避難民や受入地域の女性や少女たちが安心して集うことができるセーフスペースである”Women Friendly Spaces”の運営を継続することも可能となった。こうした施設では女性や少女たちは、支援のネットワークを構築したり、情報の入手、種々のサービスの活用、歌やダンス、手芸、園芸といった社会活動に参加したりすることができる。また、ジェンダーに基づく暴力の被害者を支援するために、より多くの心理社会的カウンセラーや臨床心理士、ケースマネージャーなどを採用することもできるようになる。

 

駐バングラデシュ日本国大使館の泉裕泰大使は「この地域には、たくさんの妊産婦や新生児がいます。そのような人々の生命を守ることはとても重要です。そのために、UNFPAはその専門性を活かして、ケース・マネージメントや心理社会的支援活動を行うことができるでしょう」と述べている。

 

UNFPAバングラデシュ事務所代表のアサ・トーケルソンは、「バングラデシュ政府および国民は、他に例を見ないような限りない寛容さと思いやりを示してくれました。しかしながら、今回の危機は莫大な規模なものであり、現場からのニーズは未だに切迫したものです。だからこそ、女性と少女たちの命を守り、出産時に命を落とすことがなくなり、既に数え切れないほどの過酷な経験やトラウマに苦しんできた女性や少女たちが、自身とその家族の尊厳を守り、さらなる暴力に対する恐怖にさらされることが無くなるよう、寛大な支援を約束した日本政府にUNFPAは感謝しています」とコメントした。

 

コックスバザールの人道危機によって被害を受けた130万もの人々は、今後も継続的な支援を必要としている。そのうち、妊産婦は約6万4,000人、そして約1万6,500人が向こう3ヵ月に出産を控え、約2,500人は出産時に生命を脅かす合併症を起こす可能性があるといわれている。そして悲しいことに、すべての女性や少女たちがジェンダーに基づく暴力の被害に遭うリスクにさらされている。

For more information, contact: Rachel Tze, UNFPA Bangladesh Communications Officer at tze@unfpa.org