現在地

日本からの支援

日本からの拠出金

 

日本政府は、1970年から国連人口基金への支援を始めました。各国からの拠出金を主な財源として支援活動を運営している国連人口基金にとって、日本は主要な資金拠出国の一つです。
 

・一般拠出金

一般拠出金とは、国連人口基金の通常の活動(年次計画に沿って実施されるプログラム)や運営管理費の主な財源となるもので、2014年には総額4億7740万ドルが各国の政府から拠出されました。このうち、日本は約2,381万ドルを拠出し、世界第9位の一般拠出金貢献国となっています。

日本から国連人口基金への一般拠出
 

 

2012

2013

2014

2015

2016

2017

日本
(千米ドル)

第8位
24,910

第8位
24,910

第9位
23,815

第9位
18,088

第9位
19,023

第8位
18,323

第1位

スウェーデン

ノルウェー

スウェーデン

スウェーデン

スウェーデン

スウェーデン

第2位

ノルウェー

スウェーデン

ノルウェー

ノルウェー

ノルウェー

ノルウェー

第3位

オランダ

オランダ

フィンランド

オランダ

オランダ

デンマーク

第4位

デンマーク

フィンランド

オランダ

デンマーク

米国

オランダ

第5位

フィンランド

デンマーク

デンマーク

フィンランド

デンマーク

英国

第6位

英国

英国

英国

米国

英国

ドイツ

第7位

米国

米国

米国

英国

ドイツ

フィンランド

第8位

日本

日本

ドイツ

ドイツ

フィンランド

日本

第9位

ドイツ

ドイツ

日本

日本

日本

スイス

第10位

カナダ

スイス

スイス

スイス

スイス

カナダ

 

(出典:国連人口基金年次報告書 2012-2017)

 

・指定拠出金

指定拠出金とは、拠出国が活動目的や活動地域などを指定して国連人口基金に拠出するもので、国連人口基金はその指定に従った活動を行います。紛争や自然災害などに対応する緊急性の高い支援活動なども、この指定拠出金というシステムを活用して行われます。

日本から国連人口基金への指定拠出

日本から国連人口基金への指定拠出:

 

2012

2013

2014

2015

2016

2017

日本
(千米ドル)

第5位
12,517

-

第7位
11,357

第6位
15,500

第7位
17,282

第12位
14,917

第1位

英国

英国

オランダ

英国

英国

英国

第2位

オランダ

スウェーデン

英国

カナダ

国連間

国連間

第3位

カナダ

ノルウェー

ノルウェー

米国

カナダ

欧州委員会

第4位

スウェーデン

欧州委員会

米国

スウェーデン

米国

スウェーデン

第5位

日本

カナダ

欧州委員会

欧州委員会

欧州委員会

デンマーク

第6位

ドイツ

スイス

シエラレオネ

日本

スウェーデン

オランダ

第7位

ルクセンブルグ

オランダ

日本

デンマーク

日本

グアテマラ

第8位

デンマーク

ビル&メリンダ・
ゲイツ財団

オーストラリア

ニジェール

スイス

カナダ

第9位

ノルウェー

米国

フランス

ノーブル・
エナジー社

オーストラリア

ノルウェー

第10位

フランス

オーストラリア

デンマーク

マリ

ベルギー

韓国

  (出典:国連人口基金内部資料、国連人口基金年次報告書 2010-2017)

近年、日本の指定拠出金によって支援を受けた活動として、ここではインド洋大津波(2005年)、パキスタン大地震(2005年)、シエラレオネ(2007年度)と、パキスタン洪水被害(2010年)、アフガニスタン(2012年)、ネパール(2015年)での活動がありました。

2010年7月、1800万人以上が被災したパキスタンにおける洪水被害では、日本政府から50万ドルの緊急無償資金協力による支援がありました。北西部パンジャブ州及び南部シンド州に妊産婦の死亡・疾病を削減するための出産キット、衛生キット、新生児キット等が計2万個以上配布された他、16棟の産科及び、緊急産科医療が行える新生児ケアの施設が整備されました。

2012年には、30年以上も人口統計が行われていなかったアフガニスタンに対し、日本政府は国連人口基金を通じて、中部のゴア州およびダイクンディ州における社会人口・経済統計調査のため8億8800万円の支援をしています。

2015年には、4 月 25 日にネパール中西部で発生したマグニチュード 7.8 の地震に対し、日本政府は被災地の女性と少女たちに対して国連人口基金が行う支援活動に、100 万米ドルの緊急無償資金協力の実施を決めました。

 

補正予算

国連人口基金は日本政府の補正予算から多額の支援をいただきました。国連人口基金は日本政府からの支援を心から感謝しております。

2016年
1.イラク:妊産婦医療と人間の安全保障:紛争時における女性の生命援助とコミュニティー救助、詳しくはこちら
2.エジプト:エジプト国内のシリア難民の女児及び女性用セーフスペースの確保
3.ヨルダン:アズラックキャンプ内のシリア難民に対する家族計画と性及び性別に基づく暴力への介入
4.イエメン:レベル3緊急状態にあるイエメンにおけるジェンダー暴力防止のための速効性アプローチ
5.パレスチナ:パレスチナの女性のための乳がん早期発見及び啓蒙活動支援
6.コンゴ民主共和国:若者と青年期の少女および女性の、性と生殖に関する健康・産科緊急ケアと新生児医療・栄養へのアクセス改善
7.ソマリア:ソマリアにおける妊婦及び新生児の死亡率•関連する疾病率の低下の支援のための保健システム構築支援
8.ギニア:若者,少女,女性のリプロダクティブヘルスサービス,緊急産科・新生児サービス,栄養へのアクセス向上
9.リベリア:ポストエボラ・リベリア復興期の妊産婦保健のための人材促進
10.シエラレオネ:産科救急ケアの整備
11.南スーダン:人道危機の影響を受けた人々のための産科・新生児医療強化緊急支援

2017年

1.ケニア:カクマとカロベイエイ地域の南スーダン難民に対する包括的な性と生殖に関する健康サービスとジェンダーに基づく暴力への対応の供給の強化
2.コンゴ民主共和国:コンゴ民主共和国の難民・国内避難民・受入住民に対する質の高い性と生殖に関する健康サービスへのアクセス向上とジェンダーに基づく暴力に対する予防と対応
3.ルアンダ:レジリエンスの構築、人間の安全保障に向けての性と生殖に関する健康ケア・生活機会の提供を通じたブルンジの女性・思春期の若者の難民のエンパワーメント支援
4.南スーダン:南スーダンの紛争による女性と少女の被害者に対する生殖に関する健康とジェンダーに基づく暴力サービスへの総合的な提供
5.リビア:リビアの内戦による被害を受けたコミュニティにおける国内避難民・難民の女性・少女の支援と保護
6.シリア:第二期女性のエンパワーメントと生活改善による内戦被害を受けた脆弱な世帯のレジリエンス強化
7.シリア:第二期「すべての人々にトレーニングを」-シリアの専門家の長期的な能力強化のための合同技術協力
8.シリア:第二期「すべての人々に教育を」
9.イエメン:イエメンにおけるジェンダーに基づく暴力からの女性・少女の保護
10.パレスチナ:女性の健康:脆弱なコミュニティにおける性と生殖に関する健康と乳がんサービスに関する人道的なニーズへの対応
11.イラク:イラクの国内避難民・帰還者、難民女性に対する緊急性の高い生殖に関する健康とジェンダーに基づく暴力への総合的な供給

12.バングラデシュ:バングラデシュに新たに到着したロヒンギャの女性・少女の保護:命を守る性と生殖に関する健康サービスの供給とジェンダーに基づく暴力への対応
13.ミャンマー:国連によるミャンマーにおける人道危機への対応
(UNFPA, UNHCR, UNICEF, WFP合同プロジェクト)
14.トルコ:トルコにおけるシリア人の若者の性と生殖に関する健康の情報・サービスへのアクセス向上
15.保存(コンゴ民主共和国、エチオピア、スーダン):アフリカの長期的紛争下にある3カ国におけるジェンダーに基づく暴力のリスク緩和と対応強化(コンゴ民、エチオピア、スーダン)

人間の安全保障基金

詳しくはこちらをご覧ください。

・日本から国連人口基金への拠出総額

2010年から2015年における一般拠出金と指定拠出金を合わせた日本政府からの支援総額は以下の通りです。

日本から国連人口基金への拠出総額
  2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
日本
(千米ドル)
第8位
27,939
第9位
30,938
第6位
37,427
第11位
26,617
第8位
35,173
第9位
33,588
第1位 オランダ 英国 英国 英国 オランダ 英国
第2位 英国 オランダ オランダ スウェーデン 英国 スウェーデン
第3位 スウェーデン スウェーデン スウェーデン ノルウェー スウェーデン 米国
第4位 ノルウェー ノルウェー ノルウェー オランダ ノルウェー カナダ
第5位 米国 デンマーク デンマーク フィンランド フィンランド ノルウェー
(出典:国連人口基金年次報告書 2010-2015)

 

人間の安全保障基金

人間の安全保障基金とは、指定拠出金の一種であり、1999年に日本のイニシアティブにより、国連に設置された信託基金です。設立目的は、現在の国際社会が直面する貧困・環境破壊・紛争・地雷・難民問題・麻薬・HIV/エイズを含む感染症など、多様な脅威に取り組む国連などの国際機関の活動の中に人間の安全保障の考え方を反映させ、実際に人間の生存・生活・尊厳を確保していくことにあります。人間の安全保障基金に対し,日本は現在までに総額約 421億円(約3億8,008万ドル)を拠出しており、国連に設置された信託基金の中で最大規模のものとなっています。

2013年までに人間の安全保障基金の支援を受けたプロジェクトは52件です。

タジキスタン北東に位置するラシュト渓谷に住む人々は、日々の生活もままならない状況に置かれています。1990年代の政治的過渡期の影響と紛争によって、この地域の生産力は大幅に落ち、食糧不足に陥りました。また、度重なる暴動と隣国アフガニスタンの影響を受け、経済再建とインフラへの投資は進んでいません。さらに、地震や雪崩、土砂崩れといった自然災害によって、人々の安全が脅かされているだけでなく、資産も失っています。特に遠隔農村地域では、電気、水、衛生設備が整っていないため、人々の栄養状態は悪く、最低限の医療も欠如しています。多くの男性が仕事を求めて海外に出る中で、適切な登録書類が十分でないため、母子家庭は経済的に困窮し、社会サービスを受けにくく、また、性的・身体的暴力の危険にさらされています。このような状況を受け、2013年7月、国連人口基金(UNFPA)は国連開発計画(UNDP)、国連児童基金(UNICEF)、国連ウィメン(UN Women)、国連世界食糧計画(WFP)と協力して、最も脆弱な5つの地域において、経済、食料、健康、環境、人間の安全保障の分野で、ラシュト渓谷の再建を目指すプロジェクトを開始しました。このプロジェクトによって、2015年6月までに48,000人の人々が直接支援を受け、18万人の人が間接的には恩恵を享受することが期待されています。
 このプロジェクトにおいてUNFPAは、人口統計データの収集、性と生殖に関する健康家族計画に対する意識の向上、世帯の経済基盤強化のための能力開発、といった健康の安全保障に関する課題に取り組んでいます。さらに、女性の社会参加、障害者自身の福祉のための発言権、地域レベルでの政策提言と、アドボカシーによる開発を実現するために、コミュニティの能力強化を行っています。そして、現在までに以下の活動を行いました。

‐ジェンダー平等、性と生殖に関する健康、差別に関するトレーニングを9‐11学年の190人以上の生徒を対象に実施
‐現地当局代表、市民社会団体、リーダー40人以上を対象に、健康に関するデリケートな問題に取り組み、健康的な生活スタイル、差別のない行動、女性のエンパワーメントを促進するためのトレーニングを実施
‐人々のエンパワーメントと法的社会的サービスの質の向上、それに伴う生活基準の向上のためにヘルスフェアを開催。内科医、婦人科医、弁護士といった専門家から、無料アドバイスを受けられるヘルスフェアには600人以上(多くが女性)が参加

 

2012年10月~2014年9月 セルビア 

人間の安全保障基金(7)

セルビア南西部のサンジャク地方には、過去20年にわたって、バルカン半島全域から難民が流入しました。難民・国内避難民・ロマ族は、仮設住宅での生活、もしくは不法滞在を余議なくされています。水や電気は不足し、農作物を育てる土地も十分ではありません。また、医療や教育などの基本的な社会サービスも受けられず、インフラと社会サービスへの投資も不足している状態です。そのため、現地経済は発展せず、若者の失業率は60%近くに達しています。このような状況を受けて、2012年10月、国連人口基金(UNFPA)は、国連開発計画(UNDP)、国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)、世界保健機構(WHO)と協力して、このサンジャク地方の脆弱なコミュニティに住む人々の人間の安全保障を改善するために、経済の安定と社会統合を促進するプロジェクトを開始しました。そして2014年9月までに、サンジャク地方の中心地であるノヴィ・パザルとその周辺に住む60,000人に対し支援を行います。
このプロジェクトにおいて、国連人口基金(UNFPA)はサンジャク地域の地方自治や、学校、文化センター、現地のユースオフィスや医療センターと協力して、ロマ族の若者性と生殖に関する健康と権利・家族計画、またジェンダーに基づく暴力家庭内暴力の予防に取り組んでいます。今までに、ピア・エデュケーション(仲間教育)として、家族計画をはじめとする性と生殖の健康とHIV/エイズを題材にした演劇と公式セミナーやワークショップをそれぞれ6回行い、14歳から20歳までの合計184人の若者が参加しています。


2012年8月~2015年7月 ニカラグア 

人間の安全保障基金(5)

ニカラグアとホンジュラスとの国境に位置するアルト・ワンギー・ボカイ(Alto Wangki Bocay)は、3つの異なった先住民族の居住地であり、最も孤立している地域の一つです。住民の安全は保障されておらず、特に女性と子どもは、男女の不平等、低い識字率、予期せぬ妊娠、家庭内暴力、また経済的に自立していないため弱い立場に置かれています。多くの子どもたちは教育の機会を持たず、栄養不良に直面し、衛生状態が悪い環境で生活しています。また、市民権と公共サービスを受けるのに必要な出生証明書を持っていません。さらに、この地域の人々は選挙権を持っておらず、また根深い社会構造的な要因による異文化間の問題にも直面しています。土地・資産をめぐって、先住民族とメスティソ(混血)移民との間で緊張が高まっていることから、これらの問題はより深刻になっています。2012年8月から、国連人口基金(UNFPA)を含め、国連開発計画(UNDP)、国連食糧農業機関(FAO)、ユニセフ(UNICEF)、国際移住機関(IOM)は、協力して、アルト・ワンギー・ボカイ地域で、先住民族地域と農村地域の人間の安全保障を改善するためにプロジェクトを開始しました。このプロジェクトによって、極貧困と地理的孤立に直面する10,566人の先住民と2,625人の移民が直接的に支援を受け、またコミュニティワーカーによるサービスやインフラ整備によって約25,000人の人々が間接的に支援を受けるとされています。

このプロジェクトにおいて国連人口基金(UNFPA)は、アルト・ワンキ・ボカイ地域での女性への暴力に対処するために、先住民族の司法制度利用の促進と、女性への暴力予防に対する取り組みを支援しています。
司法制度利用を促す試みの一つに、先住民族社会での司法制度と国家司法制度を調和させるプロジェクトがあります。このプロジェクトは二制度間に連携と共有責任の認識を構築することを目的としており、それらは地域社会の能力強化、先住民族の権利に対する意識向上、特に暴力を受けた女性の司法制度の利用を促進することにつながります。
また、女性への暴力を予防する取り組みの一環として、3つの異なる先住民族女性団体が合同で行った、女性への暴力に対する戦略構築を支援しました。その戦略では、女性への暴力を予防するために必要な行動や、暴力を受けた場合に支援を求めるための方法などが取り決められています。さらに地域の有力者や指導者、女性協会、そして志願警察官を連携させ、医療・司法・警察の一体化した性暴力被害者の保健医療保護モデルを立ち上げ、実現させるよう推進しています。

 

2012年3月~2015年3月 ウズベキスタン

人間の安全保障基金(3)

ウズベキスタン北西部にあるカラカルパクスタンは、アラル海の環境汚染の結果、人々の生活環境が著しく悪化しています。アラル海は、かつては世界第4位の大きさを誇り、周辺地域の人々は漁業を営み、海水を灌漑用水として活用していましたが、現在は世界最悪の環境災害の一つとされています。なかでも、低収入、土地と水資源に広がる塩害、食糧不足、砂嵐、質の低い飲料水といった問題を抱える北部の地域では、人々の健康は害され、移住をするか、そうでなければ劣悪な生活環境に耐えなければならない状況に置かれています。このような状況を受け、2012年3月から国連人口基金(UNFPA)は、国連開発計画(UNDP)、世界保健機構(WHO)、国連ボランティア計画(UNV)、ユネスコ(UNESCO/国連教育科学文化機関)と協力し、カラカルパクスタンの貧しい農村社会に、経済、食糧、健康、そして環境の安全保障を提供するプロジェクトを開始しました。このプロジェクトにより、2015年3月までにカラカルパクスタンの中でも最も貧しく疎外されている3つの地域に住む約50,000人が直接的な支援を受けると同時に、494,000人の人々が持続可能な医療とガバナンスの向上によって、間接的な支援を受けると予測されています。
このプロジェクトにおいて国連人口基金は、2012年から毎年、ボランティアでピア・エデュケーターとなる100人の若者に対して5日間のトレーニングセミナーを開催しています。このセミナーでは、HIVや結核から身を守る方法と、性と生殖に関する健康・権利について学ぶだけでなく、同世代にその知識を広めるスキルも身につけます。過去3年間で計300人がトレーニングを受け、HIV感染予防と性と生殖に関する健康・権利の啓発活動を行っています。また、農村の女性たちの経済的エンパワーメント、起業家精神、そして自立性を高めるために、カラカルパクスタンの女性委員会の代表、NGO、自治区の指導者、若者グループに向けて5日間のトレーニングセミナーを行いました。

 

2011年11月~2014年11月 コンゴ共和国

人間の安全保障基金(9)

2011年11月、国連人口基金(UNFPA)は、国連食糧農業機関(FAO)、国連開発計画(UNDP)、ユニセフ(UNICEF)、世界保健機構(WHO)と協力して、コンゴ共和国プール地方の平和統合と社会的安定を目指し、社会的・経済的弱者の持続可能な生活を支援し、人間の安全保障を推進するためのプロジェクトを開始しました。コンゴ共和国は、2003年の平和協定以降、徐々に復興していますが、貧困、食糧・飲料水不足、公衆衛生サービスの欠如、収入を得る機会が限られていること等、様々な問題を抱えています。さらに元戦闘員の社会復帰が遅れている地域では、犯罪や暴力が増えています。これらを受けて、このプロジェクトは、雇用の創出、衛生サービスの改善、ヘルスケアへのアクセスの向上、学校設備の改善、母子栄養支援の促進、平和共存のための枠組みの構築、ジェンダーに基づく暴力の防止を目的としています。このプロジェクトにより、2014年11月までに約120,000人の人々が支援を受ける予定です。
 UNFPAは、ジェンダーに基づく暴力の防止と暴力の被害者の医療的・精神的なケアを担当しており、2014年6月までに主に以下の成果を挙げました。

- 669人の政策立案者がプロジェクトに参加しました。
- 10,291人が心理学者によるプログラムに参加し、ジェンダーに基づく暴力についての認識を高めました。
-ターゲット地域に住む350人が、コミュニティ連絡係としてのトレーニングを受けました。
-ジェンダーに基づく暴力の現地委員会が5つ設立され、2013年1月から運営を開始しました。
-ブラザヴィル地域にあるマケレケレ病院・ジェンダーに基づく暴力ユニットによって、11人の被害者が移送されサポートを受けています。

 

2011年11月~2014年11月 タジキスタン

人間の安全保障基金(13)

タジキスタン北東に位置するラシュト渓谷に住む人々は、日々の生活もままならない状況に置かれています。1990年代の政治的過渡期の影響と紛争によって、この地域の生産力は大幅に落ち、食糧不足に陥りました。また、度重なる暴動と隣国アフガニスタンの影響を受け、経済再建とインフラへの投資は進んでいません。さらに、地震や雪崩、土砂崩れといった自然災害によって、人々の安全が脅かされているだけでなく、資産も失っています。特に遠隔農村地域では、電気、水、衛生設備が整っていないため、人々の栄養状態は悪く、最低限の医療も欠如しています。多くの男性が仕事を求めて海外に出る中で、適切な登録書類が十分でないため、母子家庭は経済的に困窮し、社会サービスを受けにくく、また、性的・身体的暴力の危険にさらされています。このような状況を受け、2013年7月、国連人口基金(UNFPA)は国連開発計画(UNDP)、国連児童基金(UNICEF)、国連ウィメン(UN Women)、国連世界食糧計画(WFP)と協力して、最も脆弱な5つの地域において、経済、食料、健康、環境、人間の安全保障の分野で、ラシュト渓谷の再建を目指すプロジェクトを開始しました。このプロジェクトによって、2015年6月までに48,000人の人々が直接支援を受け、18万人の人が間接的には恩恵を享受することが期待されています。
 このプロジェクトにおいてUNFPAは、人口統計データの収集、性と生殖に関する健康家族計画に対する意識の向上、世帯の経済基盤強化のための能力開発、といった健康の安全保障に関する課題に取り組んでいます。さらに、女性の社会参加、障害者自身の福祉のための発言権、地域レベルでの政策提言と、アドボカシーによる開発を実現するために、コミュニティの能力強化を行っています。そして、現在までに以下の活動を行いました。

‐ジェンダー平等、性と生殖に関する健康、差別に関するトレーニングを9‐11学年の190人以上の生徒を対象に実施
‐現地当局代表、市民社会団体、リーダー40人以上を対象に、健康に関するデリケートな問題に取り組み、健康的な生活スタイル、差別のない行動、女性のエンパワーメントを促進するためのトレーニングを実施
‐人々のエンパワーメントと法的社会的サービスの質の向上、それに伴う生活基準の向上のためにヘルスフェアを開催。ヘルスフェアでは内科医、婦人科医、弁護士といった専門家から、600人以上(多くが女性)が無料アドバイスを受けました。